2013/12

もし切削加工で作ろうとすると…

もしイメージのようなUの字で中空形状の製品を切削加工で作ろうとすると…

Uの字中空形状を切削ですると、分割・貼合の加工になる

切削加工でUの字中空形状を作ろうとすると、アンダーカット部が存在するため、分割・貼合の加工になります。また、刃物Rが残ってしまいます。

それに対してRP工法は、下の層から順に「樹脂を固めて→積み上げる」という積層方式のため、アンダーカット部や刃物R残りを懸念しなくてもOK!一体加工で造形可能です!

光造形のメリット

端子形状も表現した光造形品
端子形状も表現した光造形品

  • 切削加工や他の造形に比べ、高速で安価(※1)
  • 積層方式のため、アンダーカット形状でも加工可能
  • 切削加工では生じる刃物R残りが、光造形では無い

※1)肉厚や高さがあるものなど、形状によっては切削加工より高価になることもあります。

光造形の注意点

光造形品のサポート
光造形品のサポート

  • 積層方式のため、等高線の様な模様(積層目)ができる
  • サポートという支持形状(余剰形状)ができ、そのサポートを取り外してもツブツブとした痕が残る(サポート痕)
  • 積層目の方向にもろく、衝撃を受けると薄肉部は壊れやすい
  • 0.3mm以下の形状は造形が難しい、もしくは出来ない
  • 造形品の中に気泡が入ることがある

※積層目・サポート痕は磨き仕上げで、ある程度を除去可能

よくいただくご質問 ~光造形編~

Q1)光造形には、どんな材料がありますか?

靭性グレード(TSR821)
▲靭性グレード(TSR821)
少々のねじれにも強い

A1)材料はUV硬化性エポキシ材(専用材料)に限定されます(ABSやPC、PPといった汎用樹脂材では在りません)。ただし、ABSグレード・靭性グレードがございます。靭性グレードは少々の曲げやねじれにも強いですが、ABSグレードより高価になります。

■ABSグレード・・・SCR735
■靭性グレード・・・TSR821

Q2)光造形の精度はどれくらいですか?

A2)一般公差における「中級~粗級」ほどとご案内しております。
積層方式であること、硬化後に材料収縮が起こりえること、光造形品には吸湿性があることから、切削加工に比べると公差精度は出ません。また、平面方向(X-Y方向)に比べ、高さ方向(Z方向)に誤差が出やすいという特徴がございます。

Q3)加工できる大きさは?

A3)当社の光造形機のテーブルサイズは580×480×490です。
これ以上の造形品は、分割・貼合による加工となります。貼り合せには瞬間接着剤を用います。
※3分割以上の大きな造形品となると、接合箇所にズレが生じやすいので、形にならないこともございます。

光造形の積層目、気泡、サポート

Q4)「仕上げ」ってなんですか?

A4)造形直後の光造形品には積層目やサポート痕が残っています。意匠面にある積層目やサポート痕を「磨き仕上げ(ペーパー仕上げ)」で除去します。また、磨き仕上げ後に塗装や染色もできます。

(形状によっては細部が磨けない、塗装ができない場合もあります)

Q5)積層ピッチで価格が変わるのですか?

A5)積層ピッチとは、積み重ねる層の厚みのことです。通常の積層ピッチは0.1mmですが、加工時間を短縮するため積層ピッチ0.15mmでも造形可能です。加工時間が短くなると価格も安価になります。ただし、積層ピッチ0.15mmだと磨き仕上げができませんので注意が必要です(積層目が粗すぎるため)。「ただ形を確認できれば良い」という形状確認用であれば、積層ピッチ0.15mmでも良いかもしれませんが、デザインモデル・意匠品の試作であれば、積層ピッチ0.1mmで造形し磨き仕上げまで行うことをオススメします。

光造形品

光造形品(磨き仕上げ後)
光造形品(磨き仕上げ後)
左側:光造形ギア、右側:射出成形ギア
左側:光造形ギア、右側:射出成形ギア
射出成形前の形状確認用に
光造形品(磨き仕上げ)+黒塗装(シボ風半ツヤ)
光造形品(磨き仕上げ)+黒塗装(シボ風半ツヤ)
光造形品(磨き仕上げ)+サフェーサー塗装
光造形品(磨き仕上げ)+サフェーサー塗装
光造形機内(描画範囲580×480×490)
光造形機内(描画範囲580×480×490)
光造形機/SCS-8000(SONY)
光造形機/SCS-8000(SONY)

粉末造形とは

粉末造形アッセン品
粉末造形品は耐久性がある方なので、
アッセンブリ確認にも利用しやすい

粉末状のPA12系粉末ナイロン材にレーザーを照射し、材料を焼結させながら積層する工法です(SLS法)。

一般的に積層方式であるRP工法品は、強度面で脆いことが弱点といわれていますが、粉末造形品はその中でも丈夫な方で、ツメ形状・ヒンジ形状でも機能することが特長ともいえます(※何回でも使えるわけではありません)。また、材料がナイロン素材なので、耐熱性・高耐溶剤性にも優れていることも長所といえます。上記のためか、カバーケース・保護ケースとしての加工依頼も多いです。

一方、粉末造形の弱点は、品物の質感です。粉末材料を焼結して造形するため、その表面はザラザラした感触になります。また、積層目も残り、磨き仕上げを施してもザラザラ感の払拭や積層目の除去は難しいです。

粉末造形のメリット

粉末造形品

POMと刻印がありますが
粉末造形品です

  • 積層式の造形品だが耐熱性、耐久性に優れる(耐熱性VST160度~180度)
  • サポート痕が残らない
  • 切削加工に比べ、高速で加工可能
  • 積層方式のため、アンダーカット形状も一体加工が可能
  • アッセンブリデータでも造形可能

※ソリッド間に0.1mm以上のクリアランスが必要

粉末造形の注意点

  • 表面の質感がザラザラした感じになる。磨いてもツルツルにはならない。
  • 寸法公差が、光造形や3Dプリントより出にくい。
  • 材料費が光造形より高め。積層目が残る。
  • 0.3mm以下の形状は造形できない。
粉末造形の質感
ザラザラした質感になります
粉末造形の積層目
粉末造形の積層目

よくいただくご質問 ~粉末造形編~

Q1)加工できる大きさは?

A1)マシンのテーブルサイズは190×235×310mmです。

Q2)塗装は可能ですか?

A2)塗装仕上げが可能です。
ただし、下地処理が必要で、また質感はザラザラしたものになります。

RP工法は一体加工が可能です!

【粉末造形の流れ】
(1)粉末造形用のPA12(12ナイロン)を敷き詰め、そこにレーザービームを照射し、造形箇所を焼き固める(焼結する)。
(2)1層目が焼結できたら、その上にさらに材料を敷き、またレーザーで焼結する。
(3)これを順に繰り返し、モデルを造形していく。
(4)最後に焼結されていない部分を、エアーで吹き飛ばし、焼結されたモデルだけを取り出す。

つまりRP工法ならアンダーカット形状も一体加工で造形可能!

粉末造形の流れ

3Dプリントとは

左側:サポート除去前 右側:サポート除去後
左側:サポート除去前
右側:サポート除去後

インクジェットヘッドから紫外線硬化樹脂をテーブルに塗布し、積層してモデルを形成する工法です。

サポートにはワックスを用いていることが特長です。

サポートワックスは加熱することで容易に融解できるので、光造形のようなサポート痕が残らず、また粉末造形のようなザラザラした質感にはなりません。

光造形が苦手な彫刻形状の造形にも適しています。

3Dプリントのメリット

3Dプリント品
3Dプリントは細かい造形も得意としています

  • 光造形のようなサポート痕が残らない
    (ワックス材のサポートで溶解除去できる)
  • 粉末造形のようなザラザラした質感にならない
  • 積層ピッチが0.032~0.016mmで造形可能(通常0.029mm)
  • 切削加工に比べ、高速で加工可能
  • 積層方式のため、アンダーカット形状も一体加工が可能
  • アッセンブリデータでも造形可能

※ソリッド間に0.1mm以上のクリアランスが必要

3Dプリントの注意点

3Dプリントの積層目

積層目が残ります

  • 光造形に比べ材料費が高め
  • 強度は光造形より少し強めだが、壊れやすい条件は同様
  • 積層目が残る。気泡が入ることがある。

よくいただくご質問 ~3Dプリント編~

Q1)加工できる大きさは?

A1)マシンのテーブルサイズは295×185×200mmです。

Q2)塗装は可能ですか?

A2)塗装仕上げが可能です。
ただし、通常ですと積層目が残ります。

RP工法(短期試作工法)の比較

Rapid Prototyping:短期試作

ラピッドプロトタイピングとは、3Dデータから専用機器を使って、短期で造形する技術の総称です。光造形・粉末造形・3Dプリントが有名です。いずれの工法も、積層方式が基本です。

RP工法と
切削加工
光造形 粉末造形 3Dプリント 切削加工
工法 工法 積層方式 積層方式 積層方式 切削方式
工期 3-6営業日 3-6営業日 3-6営業日 5-7営業日
精度
材料 材料 エポキシ系
UV硬化樹脂
PA12系
粉末焼結材
アクリル系
UV硬化樹脂
ABSなど
一般汎用樹脂
費用 高価 高々価 高々価 標準
質感 強度:×
淡黄色半透明
積層目
サポート痕
強度:○
乳白色
ザラザラ
強度:△
半透明
積層目
ツルツル
強度:◎
(一体加工の場合)
モデル例 形状確認モデル
注型マスター
検査治具
形状確認モデル
カバー・ケース
一部機構モデル
展示モデル
注型用マスター
彫刻モデル

※工期は手の平サイズ(70mm角程)のワーク単品を仮定
マシンの稼働スケジュールに空きがありましたら、表記より早く提供できることもございます。都度ご相談下さい。

※精度は切削加工を基準にしたRP工法の精度イメージ
※費用は一般汎用樹脂をABSとして仮定したRP材料のコストイメージ
※強度は一般汎用樹脂をABSとして仮定したRP材料(通常グレード)の強度イメージ
※光造形および3Dプリントの積層目・サポート痕は、磨き仕上げで除去が可能です。

RP工法のメリット

RP工法(ラピッドプロトタイピング工法)のメリットは、その名の通り、「短期」でモデルの造形が可能なことです。工期を“データを形にする”という部分だけで考えた場合、切削加工より短期であることが大半です。工期が短いということは、コストも安いとも言えます。

また“積層方式”で造形していくため、切削加工の障害である“アンダーカット” や“刃物R残り”などを懸念する必要がありません。切削加工では分割・貼合(接着)を行わなければできない形状も、RP工法では一体造形が可能です。そのため、彫刻形状や複雑形状の造形にも適しています。

形状・サイズ・数量・仕上げ具合にも左右されますが、多くの場合は、切削加工より工期が短く、そのため安価で試作が可能です。

RP工法と切削加工 光造形 粉末造形 3Dプリント 切削加工
工法 工法 積層方式 積層方式 積層方式 切削方式
工期 4-6営業日 4-6営業日 4-6営業日 5-7営業日
精度

RP工法のデメリット

RPのデメリットは“材料の選択に限りがある”ということです。どのRP工法で使われる材料も、あまり本番(量産)では用いられません。

現在では「相当品」というグレードで、様々なRP材料も出てきました。しかし、やはりその物性は本番材料・汎用樹脂とは異なります。基本的に汎用樹脂よりRP材料の強度は劣ることが多いです。特に応力が積層方向に加わると破損しやすいです。故にRP材料は“試作に特化した材料”とも言えるでしょう。

また、 RP材料は特殊材料であるため、本番で用いられる汎用樹脂より、材料費が高価です。肉厚が大きいものは材料コストが高くなります

SCR735 TSR821 PA2200 VisiJet EX200 汎用樹脂
工法 光造形 光造形 粉末造形 3Dプリント
材料 UV硬化性
エポキシ
(ABSライク)
UV硬化性
エポキシ
(靭性グレード)
粉末焼結用
PA12
UV硬化性
アクリル
ABS
曲弾性率
(Mpa)
2,530 2,225 1,240 1,159 2,200~2,650
衝撃強度(J/m)
Izod-ノッチ有
29-33 48-49 40-48 25 150-490
耐熱性能(℃) 48-52
(HDT)
49-52
(HDT)
163-181
(VST)
56(HDT) 75-85(HDT)

RP材料を折り曲げた場合

SCR735を折り曲げた場合
【光造形品SCR735を折り曲げた場合】
飴細工のようにパキッと簡単に割れた(積層方向に)
3Dプリント品を折り曲げた場合
【3Dプリント品を折り曲げた場合】
積層方向に簡単に割れた。SCR735よりは割れにくい感じに。
PA2200を折り曲げた場合
【粉末造形品PA2200を折り曲げた場合】
折り曲がった。反発(戻ろうとする力)は強い。
PPを折り曲げた場合
【PPを折り曲げた場合】
折り曲がった。反発は強い。
ABSを折り曲げた場合
【ABSを折り曲げた場合】
折り曲がった。破断有り。反発は弱。
PCを折り曲げた場合
【PCを折り曲げた場合】
折り曲がった。反発は弱。
アクリルを折り曲げた場合
【アクリルを折り曲げた場合】
パキッと割れてしまった。(折り曲がらなかった)
注型品を折り曲げた場合
【注型品を折り曲げた場合】
折れるというより、ブチっとちぎれた感じに
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